東京大学先端科学技術研究センター先端物流科学寄付研究部門は、2019年7月に日本の有力な物流企業であるヤマトホールディングス、SBSホールディングス、鈴与の3社からの寄付によって設置されました。その後,日本政策投資銀行、NXホールディングス、モノフル各社からも追加の寄付を受けて運営を行っています。

日本は,人口減少や働き方改革などにより、人手不足が顕在化し、とりわけトラックの運転や倉庫内の作業など、人が関与する作業が多い物流業界は、この影響を大きく受けています。

また、e-コマースと呼ばれるインターネットを介したショッピングの発展に伴い、宅配個数は急速に増加しており、人手不足と相まって、将来荷物が運べなくなるリスクも高まっています。

2024年から始まるトラックドライバーの労働時間管理の厳格化により,物流を取り巻く課題はますます深刻かつ複雑になり、最近は「物流2024年問題」として広く認知されつつあります。

このような物流課題を解決すると同時に、接続可能な社会を実現するためには、物流業界はAIやロボティクスなどの先端科学技術を活用し、物流を改革することが求められています。

物流会社を中心に企業の壁を越えて設置された当寄附研究部門は、従来とは異なる科学的視点で、ビッグデータやAI、IoT、ロボティクス、ブロックチェーンなどの新技術などを活用できる高度物流人材の育成と,物流を取り巻く課題の解決につながる研究を行っています。